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■2006年8月 ニュージーランド飛びある記
女性参政権を世界で最初に獲得した国を視察
●視察日程(NPO法人Gプランニング主催、全国フェミニスト議員連盟共催)
7/17(月) オークランド / オークランド女性センター
7/18(火) オークランド / ノース・ハーバー・リビング・ウイズアウト・バイオレンス
シャクティ・コミュニティ・カウンシル・インク
7/19(水) ウェリントン / 女性問題省
ニュージーランド警察
7/20(木) ウェリントン / ニュージーランド女性協議会
クライストチャーチ / ストッピング・バイオレンス・サービス
7/21(金) クライストチャーチ / セント・ジョセフズ・スクール
*クイーンズタウンでの女性議員との交流会は中止
7/22(土) クイーンズタウン / *プレイセンター
*通訳兼コーデイネーター 江頭由紀さん(クイーンズタウン在住)
南半球のニュージーランドにこの夏、視察で訪問しました。フェミ議からは5人が参加。北島と南島をあわせて日本の2/3くらいの国をたった6日間で見てこようという欲張りな計画で、まさに飛行機で飛び歩きました。

冬のニュージーランドは天候が変わりやすく晴れたかと思うと一天にわかに曇って雨が降り出し、雹まで降るという状況で、中盤までは奇跡的に順調な視察を続けることができたのですが、クイーンズタウンに向かう飛行機がようやく離陸したものの悪天候のため着陸できず、南島の最南端のインバーカーギル空港にやむなく着陸。そこからひつじ畑とも言うべき牧場の中の道を突っ走ること2時間あまり。やっとの思いでクイーンズタウンに到着したときには、すでに午後8時をまわっていました。山道が凍結してお一人の議員は来られず、待っていてくださったもう一方には気の毒なので、残念ながら女性議員との交流会は中止となりました。

以下各参加者のレポートです。(国際担当世話人 木村民子)
ニュージーランド到着後、初めて訪れたオークランド女性センターは市街地から15分ほどの下町の住宅街にあり、芝生のある平屋の建物だった。

お話を伺ったのは、カウンセラーの資格をもつ30歳の10代教育担当のアナさん。センターはフェミニズムの考え方による女性のための団体で、具体的には「サポート活動。自主活動(ヨガや女性作家の読書会など)。週末のワークショップ。個人カウンセリング。」を行っている。民間で有料だが参加者の収入による考慮がある。スタッフは有償4名、ボランティア2名。サービスを受けた人はこれまでに1500人。30年の歴史がある。オークランド市による公設民営。

活動内容はサポート活動に力を入れていた。その中心は10代で母親になった女性たちに対するサポート。同じ経験のある女性たちがグループで話し合い情報を共有し将来についても話す。さらに、子育ての情報を具体的に学び、政府からの補助を受ける方法など実際の生活をスムーズに送ることができるような情報も学び、託児付だった。その理由はNZでは10代の妊娠が先進国の中でもかなり高く、背景には貧困、世代間連鎖などがあり、特にマオリの人たち、南太平洋からきた人々に多く見られるためだ。他にはカミングアウトした同性愛の少女たちのサポートグループなど。

あと、特筆すべき点は、Self -Defence(自己防衛)のワークショップだ。7歳〜12歳のグループと13〜15歳のグループ、大人のグループでそれぞれ、具体的に身を守る行動やどういう場面が危険か、さらに精神的なこと(自信のないことがおそわれる)や感情面のコントロール(危険が迫った時に怒りをおこすこと)などを教育していた。

施設内には女性の図書館もあり、その内容は女性の心と体、政治、女性に関する詩、ノンフィクションなど多岐にわたり、大変充実していた。奥には素敵な絵がかけられたカウンセリングルームがあり、小さいながらも実際的な助けになる女性センターだった。このような団体はオークランドに3団体、それ以外に全国で10〜12団体あり地域に密着した団体だった。

DVに関して3つの民間団体を訪問した。DV対策は日本より10年は進んでいる。銀行などの企業がDV支援団体に多額の援助をしていること、民間団体の専従スタッフに潤沢とはいえないが生活できる給料を支払えていることは羨ましい限りです。それでも被害者を支援する際の悩みや運営の厳しさには共通するものがありました。「赤道を越えて反対側の国だけど共に頑張ろうね」と言われ、スタッフとかたくハグして別れました。

このパワーを、11月に函館で開催される全国シェルターシンポジウムに生かしたいと思う。フェミ議の皆さん、ぜひ参加してください!

(竹花郁子)
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事務所訪問の前に、連携している民間シェルターを見学させてもらえた。車で20分程の郊外、5エーカーの敷地に2台所、大きなリビング、3浴室、7寝室という別荘のような2階建ての家。
心身の癒しと子どもの安全のための細かな配慮が各所になされていた。24時間電話相談、女性と子どもの保護、法律相談、教育プログラムの紹介、仕事や家探しなど自立支援を行っている。入居者は年約250人で人種にかかわらず支援する。中国、韓国、日本、アフリカの女性たちも今までに利用した。移民女性には移民としての権利も教える。通訳を雇えるだけの予算はないのでコミュニケーションが難しい場合も多い。年約2000万円の運営費は、政府から1/3を得て、銀行など各種基金や、寄付された芸術作品の展示即売など自助努力で残りを補っている。スタッフは6,7人、シェルターでは被害者が落ち着くまで寄り添ってサポートする。夫の元に戻る場合はセイフティプランを立ててから帰し、その後もスタッフが加害者と顔をあわせるこのないように外側から支援を続ける。

セイフティプランや教育プログラムは、上記の団体が行う。男性がより良く生きるためのプログラム、女性サポート、10代の加害者プログラムが用意されている。年間男性300人、女性200人、10代は50人位が研修に参加、8~16人のグループセッションで、トラウマの重い場合は一対一のセッションも行う。女性の研修は週二時間で15回、男性は6ヶ月プログラム、子どもは年齢毎のグループ研修。学校・幼稚園等への暴力防止出前講座も行っている。研修効果を尋ねたら、大学調査によると20%が劇的に変わり、65%が良い方向へ、15%は特に変化がないとの結果が出ているそうだ。20%劇的に変わるきっかけは何なのかを聞けず残念だった。
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1995年に7人のアジア女性が設立した移民と難民のDV被害女性のためのサポートグループ。現在は国内にセンターを8カ所、シェルターを8カ所持っている。訪ねたセンターは5部屋あまりの民家で、まずスタッフとボランティア15人位が次々と自己紹介。インド、中国、パキスタン、イラン、バングラデシュなどの出身で、母国では37年間も教師を務めた人、ビジネスの学位をとった人、インターンシップの大学生と、様々な職業や立場や年齢の女性たちが関わっている。クライストチャーチのセンターには日本人ボランティアがいるそうだ。スタッフは例えどんな資格を持っていたとしても、必ず特別研修を受けなければならない。コミュニケーションゲーム等を行いながら違いを認めあい異文化を理解していく。多様な生活様式、宗教を背景とした人達が協力していくには重要なことだ。

もう一つ強調していたのは、アジア社会の縦関係ではなく、スタッフはみんな対等で横並びに情報を繋げていく、平場で話し合う、それぞれが代表者意識を持って役割を果たし責任転嫁をしないこと。何らかの暴力を受けたことのある人も多いのでピアサポートができる。20人が有償で関わり、運営費は年約4500万円で政府やCYF(児童相談所の様な組織)補助金や銀行などの寄付が収入源となっている。

年間約2万人の家族を支援しており、シェルター入居者は100人以上、すべてのアジア女性からの相談があり、日本女性の支援もした。パンフレットは中国語、アラビア語、韓国語併記のを揃えていた。24時間電話相談、一時保護から法的支援、文化理解や仕事を探したり、資格を取得の手助け、子どもの就学など自立に向けてのニーズを拾い上げてあらゆる支援をする。英語講座や車の運転指導も行っている。

「自分の国ではこのように充実した支援は受けられない」という被害者の言葉がきっかけで、最近マレーシア、インド、ドバイ、バングラデシュでDV調査とこの団体の活動を広めてきたという。10年間でここまでの組織を創り上げた強い意志と、手作りのお菓子でお茶の時間を準備してくれたあたたかさに、参加者はみんな感動した。
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首都ウェリントンに着くと、一行13人は正装をして女性問題省に入った。トイレに行くにも、厳重な鍵をあけていく。ここだけは大変な警戒振りだった。1986年にたった30人のスタッフでできた一番小さな政府機関。女性の生き方をよりよいものに改善するための様々なアドバイスを提供する省。今回対応に当たったのは二人の女性、事務次官と、政策担当官だった。50歳前後に見える事務次官が雇用情勢とDVについて語った。

まず15歳から64歳の男女別雇用率は、男76%、女64%。働く女性の36%がパートで、働く男性の18%がパート。男女の給料格差は、女性が男性の82%。このような格差をなくすために、

1、 無償労働を分け合うこと
2、 保育所を増やし、保育者資格取得者を増やす。
3、 仕事現場をもっとフレキシブルに。
4、 パートの雇用を増やす。

ことを考えている。とのこと。有給(65%)育児休暇が自営業者にも取れるようになり、その給料は政府から出ることになった。(2006,6,1より)

次にDVに関して、政府は、経済的、社会的に大問題であると認識して、対処している。毎年殺人の50%がDVによる。そして30%の女性が何らかの影響を受けている。1995年にDV防止法ができ、加害男性への教育プログラムを実施しているが、まだ成功しているとはいえない。子どものしつけの手段としての暴力についても策を講じようとしている。

今調査を進めていること。

1、 今年がDV法の見直しの年なので、被害女性が助けを求めた道筋を集める。
2、 Keeping Ourselves Safeという虐待防止プログラムとの関係を作っていく。

最後に、女性の議会進出について聞いた。選挙制度が、小選挙区のみだったのを比例区併用に変えたのだが、93年に女性議員比率が30%だったのが、現在32%にしかなっておらず、選挙制度によって変わったとはいえないとの説明だった。しかしその後訪ねた女性協議会では、比例区併用制に変えた直後には、かなり増えたのが、その後落ちて現在に至っている、選挙制度の変革はそのときには意味を持っていたとの説であった。

女性たちは女性の活躍している政党を好むので、政党もそれに対応することになる。世界で初めて参政権を取ったという女性たちのプライドも影響している。とのことだった。
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ケイト・シェパードさんたちの女性参政権を獲得する運動が実を結び、1893年にニュージーランドは世界で最初に女性参政権を獲得した。しかし、選挙権を得たものの、1923年まで被選挙権がなかったので、女性議員が誕生したのは1933年だった。ケイト・シェパードは、キリスト教禁酒同盟に属し禁酒運動をするうちに女性への暴力や女性参政権にめざめていったと聞いていたが、10ドル札の肖像を見ても、とても穏やかな素敵な女性である。

今回訪問したニュージーランド女性協議会はそのケイト・シェパードのグループが1896年に設立した。全国に31支部があり、39団体と協力関係にあり、各団体のメンバーと、ここでさまざまな議論をする。前協議会会長で今は議会監視委員会のヘリル・アンダーソンさんに話を聞いた。当協議会は、女性と子どもに関る家族の問題を中心に11ある委員会で議論したことをまとめ、政府に提言する。「107Yeras of Resolution」という分厚い冊子にはその記録が書かれており、ニュージーランド議会に提案し法律になったものがいくつかあるそうだ。たとえば加害者に対する申し立て期間が3ヶ月であったのを、1936年の法改正で12ヶ月に延長させた。

今重点的に働きかけているのは、男女の賃金格差の是正と暴力追放である。特にニュージーランドは暴力が最大の課題であり、子どもに対する取り組みはCYF (シフスDepartment of Child, Youth and Family Services)という日本の児童相談所にあたる政府の機関が行っている。協議会では、児童虐待防止などで活動している団体の代表者からの声をまとめ、政府に挙げる活動の他、 CEDAW (女子差別撤廃委員会)や子どもの権利条約委員会などにもNGOレポートを定期的に提出するため協力している。

また、女性省が女性の社会参加を進めるための 積極的改善措置を取り、2010年までに政府関係組織の女性の割合を50%にすることを目標にしているが、民間企業の女性管理職は、4%に過ぎないと聞いて、一同驚きの声が上がった。 私が、ここでは女性議員を増やすためにバックアップスクールのようなものを運営しているのかと訊ねたら、それは実施していないとのこと。ただ、選挙の時には立候補者のための教育をしたり、政党の公約の分析をして情報を流したりしているそうだ。1990年に小選挙区から比例代表併用制に変わったが、この時、女性協議会は3年間にわたり大キャンペーンを行った。小選挙区が女性にとっていかに不利か、比例代表制とは何か、どういう効果があるかを説明したパンフレットを作ったり、公聴会でスピーカーをつとめたりもしたという。そのため、1996年の比例代表併用制になった選挙では、女性立候補者が増え、1993年の女性議員は30%であったのが、2002年の選挙では37%にもなった。2005年には32%に後退したものの、女性省とは対照的に女性協議会は自分たちの活動の成果を自負しているようだった。

このニュージーランド女性協議会のように、全国の団体を束ねて政府に提言する強力な組織は日本には今のところまだない。市川房枝さんは日本のケイト・シェパードだったかもしれないが、後輩の私たちの力不足を痛感した。
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1984年に、男性の怒りをコントロールする研修機関として設立したNPOで、32団体からなるDV国内ネットワークに加盟している。中心街のビル4階に事務所と研修室を設け、4つのシェルターと密接に連携をとっている。代表のポールさんは開口一番、「男性のためのプログラムにはお金が出にくく、資金繰りが厳しい」と訴えた。年間約600人の受講者の内裁判所からの250人位には国から受講料が出るが、いわゆる出来高制なので2/3がドロップアウトする現状では運営は厳しいと言う。年間約2700万円の予算で、スタッフは代表とソーシャルワーカーの常勤2人の他に、研修が開催される午後3時以降のスタッフが28名、計31名(内女性10名男性21名)。スタッフは、資質を見極める慎重な面接で採用され、年に一度16時間のトレーニングを受ける。 加害者プログラムの他に、女性支援プログラムや10代の子どもたちの怒りのコントロールプログラム(女性版・男性版)があり、1組25人で年20組実施している。個人研修も年約100人行っている。

加害者プログラムは45時間、12のセッションから成り、必ず女性と男性のスタッフ2人で実施する。女性の話を聴くことは加害男性にとって重要な研修となる。まず自分が行って来た事を話し合い、暴力に頼らずに人とコミュニケーションをとる方法を習得していく。

様々な「怒りのスケール」を用いて自分がどのような状態かを確かめる。70もの表情の顔マークが書かれた『今日はどんな風に感じてる?』表は私たちにも役立ちそうだ。 「ニュージーランドの男性は女性や子どもを大切にしてない。23年間研修を実施してきたが、なかなか変えることができないのが辛い」と代表が最後に語った。日本ではようやく加害者プログラム実施に向けて動き始めたが、この代表の言葉を噛み締めてより効果のあるものを創りたいと思った。
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1878年に開校したクライストチャーチで最大のカソリック系の私立学校セント・ジョセフズ・スクールを見学させていただいた。5歳から15歳の生徒数が400人で16クラス、 最大生徒数は1年から3年で21人、4年から8年で27人と少人数学級だ。学習障害がある子どもには1人に1人の補助教員(補助教員コースを受講した有資格者)がつく。

また、98%がカトリック家庭の生徒。訪問した時、ちょうどティタイムだった。受付は高学年の生徒2人が担当し、教師たちは職員室(ミーティング・ルームのようなラフな場所)でクッキーを食べながらお茶を飲んでいた。日本と同様多くが女性教師。マーク・グレゴリー校長先生の校長室にも入れていただいた。壁に生徒たちが書いた絵をたくさん張っているのが印象的で、校長室独特の堅苦しさは感じられなかった。

学校の教育方針は、誰もがカトリック教会の教えと伝統を共有して、愛情深い環境の中で教育を提供することによって我々の子ども達に生命の準備をさせること。校舎は全て平屋で廊下は屋外だが、教室の中はつながっており暖房が効いて温かだった。この他に、図書館、コンピューター室、ホール、ラグビーとサッカーとホッケーが同時にできる自慢の広いグランドがあった。

暴力防止については学校独自のガイドラインを策定しており、すでにニュージーランド警察のプログラムを導入していた。校長先生の評価は、子ども達が告発しやすい雰囲気を作るために、教師と生徒の信頼関係が高まる効果があり、義務教育への導入の必要性を感じているとのことだった。

性教育についても1年生から実施しており、まず体の部位の正しい名前から教えているが、避妊については、やはりカトリック教会との協議があり、特に教えていない。10年間で1家族の拒否があったそうだが、まず保護者へのミーティングを行い、承諾を得てから始める。校長先生自身も2年間の性教育コースを受講して、資格を持っているとのことだった。

ちょうど、ホールで集会が行われる日で、私たちも特別に参加させていただいた。宗教的意味合いを持つ内容らしかったが、英語ができない私にはちんぷんかんぷん、子どもたちにニコニコ手を振って学校を後にした。こんなに気さくに視察を受け入れて下さったことに感謝したい。

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